プロローグ

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プロローグ

プロローグ  僕は「ギャンブル」を『趣味』とはしていない。 でも、 僕のこれまでの「人生」は、 まさにギャンブルだったと思うんだ。 とりわけ、 二十代に歩んだ道筋は、 今から思うと、 「ハイリスク・ハイリターン」な『ギャンブル』だったかな。 なぜならば、 僕の経歴がそれを物語っているからさ。  僕は、 かつて「大学」という名の『組織』を、 底辺から頂点へと登り詰めようとしたんだ。 でも、 それに嫌気がさして、 この「社会」という広い野原へ降りたとうとした。 なぜって、 僕が組織に属している時、 「博士」という学位と引き替えに、 あたりまえのように理不尽な雑用をしたり、 不正に関与したりしたからね。 その間に、 それを取り巻く人々が名誉、 地位、 金に群がるのを見るのがとても滑稽で、 それを見ているうちに、 そこが実に狭い世界だと悟ったからなんだ。  これから始まる話は、 その「狭い世界」が、 主たる舞台となる。
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