4. マンションとコーヒー

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部屋の中に入ると、 西を枕にして、 ベッドが壁の角に寄せてある。 そのベッドと平行して、 長手方向に、 窓を向いた机がある。 その机の上には、 デスクトップのパソコンのディスプレイがある。 その机は、 睡眠中、 とっさにアイデアが浮かんだときに、 パソコンに最短経路でアクセスできるように、 配置してあるんだ。 机に座り、 左を向くと、 壁一面に作り付けの収納棚があり、 僕はそれを、 本棚や、 クローゼットとして使っている。  この部屋に居ると、 たまに、 救急車とは違った、 危機感溢れる音に包まれるときがある。 僕は、 その音を聞くと、 ベランダに出て、 その音の源を見るんだ。 その源は、 空を飛んでいるヘリコプターだ。 普通のヘリコプターではない。 「ドクターヘリ」だ。 ステラ・ランドは広い。 広いが故に、 医療レベルには地域の格差がある。 ステラシティで救える命が、 ランド内のどこかでは救えない。 例えば、 ステラシティで救える命が、 300km北の街では救えない、 そんな現状が、 この大地にはある。 ドクターヘリを運用して、 数年経ち、 多くの命を救ってきたが、 機体の数も少なく、 しかも、 ヘリが到達出来ないエリアもあるのが現状だ。 ドクターヘリの運用範囲は、
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