4. マンションとコーヒー

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 彼の入社が取り消しにならなかったのは、 彼が教授のコネで内定を得たからなんだ。 そして、 四月から入社できないけれど入社させてほしいって、 教授が就職先に懇願したからなんだ。 何ていったって、 彼の就職先の役員が教授だもんね。 就職先の企業も彼の入社を取り消すと、 後々不利益を被ることはわかっているしね。 僕も、 できれば教授のコネで入社したいと思ったりもしたよ。  僕の一日は、 この部屋のベッドで目覚めた時に飲む、 コーヒーから始まるんだ。 僕は、 コーヒーにはうるさい方だと思う。 実際、 僕のグラインドか、 あるいは淹れ方が悪かったせいか、 不味いコーヒーを抽出してしまったときには、 大学の講義を休んだりもしたんだんだ。 自業自得だけれども、 それほど、 僕の一日の始まりにとっては、 必要不可欠な儀式なんだ。 その儀式に用いる豆の購入先も決まっている。 それは、 大学からの帰り道にある、 ステラシティ・セントラルステーションのガード下のコーヒーショップである。 僕は、 そこで、 「マンデリン」を百g必ずオーダーしている。 そして、 気分や季節に応じたオリジナルのブレンド豆も2種類、 それぞれ百gずつオーダーしているんだ。
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