4. マンションとコーヒー

7/8
前へ
/404ページ
次へ
 博士課程になると、 講義の数も修士課程と比べて半分になるから、 研究室に行かない日もある。 そんな日は、 天気が良ければ、 部屋で挽いた豆から抽出したコーヒーを、 「OXO(オクソー)」の真っ赤で、 密封できるタンブラーに入れて、 1stストリートの公園のベンチに座って、 物思いにふけりながら、 それを飲むんだ。 七月になると、 公園の12thアベニューでは、 バラが咲き乱れ、 コーヒーのアロマと、 バラの香りとが、 僕に心地良い安息を与えてくれる。 そして、 極希に、 研究の独創的なアイデアが浮かぶんだ。  夜には、 僕のマンションから、 トラムが走る通りを、 東へ二ブロック行ったところにあるカフェに、 よく行くんだ。 そのカフェは、 ステラシティの西にあるサークルマウンテンという高級住宅地のカフェが、 焙煎工場として、 利用しようとした建物だった。 でも、 建物がデザイン的に、 「焙煎工場だけではもったいない」ということで、 アンティークなアトリエとカフェを併設したらしい。
/404ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加