第1話

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第1話

「おい、聞いてるのか?」 部長の言葉で我に返る。 「あ、、はい。。昼までにこちらから先方に連絡しておきます。。。」 手にしていたボールペンをカチカチさせながら、僕は答えた。 「何言ってんだバカ。午前中はいないと連絡がきたって今言っただろうが。」 舌打ちをしながら、部長はドアへ向かって歩き出した。 大丈夫かあいつ?という声が聞こえる。 ふぅ、、、。 ため息をつきながら両手を机に押し付け、重い体を持ち上げて僕は立ち上がった。 そして、大きく伸びをする。 ふいに周りの視線を感じ、僕は伸ばした腕をそっと降ろして、咳払いをしながらいすに座り姿勢を正した。 今の職場に就職して、まだわずか3ヶ月。 これで三度目の就職だ。 続かない理由はわかっている。 協調性がない。覇気がない。何を考えているのかわからない。 そういった理由で、解雇されることがほとんどだ。 「そりゃそうだよな。自分でもわからないさ。自分のことなんて、、、。」 再びついたため息とともに受話器をあげ、「あ、、、。」と呟いてまた戻す。 毎日、こんなことの繰り返しだ。
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