ドロップγ

2/4
前へ
/25ページ
次へ
741. 風呂から上がると、もうご飯の支度は出来上がっていた。 「スバル、ところで今は何時なんだ?」 「そう、ですね。ここには時間の概念って無いので、夜の8時くらいという事にしておきましょう」 随分といい加減な管理人だ。 しかし、背に腹は変えられない。というか、面倒は見てくれるんだ。黙って言うこと聞こう。 「では、座ってくださいね」 「あ、うん」 食卓に並べられたのは、栗ご飯、味噌汁、秋刀魚の塩焼き。秋の食材ばかりだった。 「いただきます!」 スバルが座るのを見計らって、手を合わせた。 「はい、どうぞ」 彼女に促され食べ始めると、スバルもにこやかな笑顔で食べ始めた。 「ご馳走さまでしたー!」 「ふふっ、まるで、小学生みたいですね」 「そう言うスバルは、いくつなのさ?」 スバルは一瞬顔を伏せてから、 「さあ? もう、忘れてしまいましたよ」 彼女が洗い物をしている間、色々と考えてみたけど、そもそも僕はなぜ死んだ? いや、自殺だったことに疑問の余地はないんだけど、そもそもどんな理由だったのか、忘れてしまっている。 「ヒーロくんっ」 スバルが後ろから勢いよく抱きついてきた。 「ス、スバル! 当たってる、胸がぁっ!」 ただでさえ意識しないようにしていた、二つの弾力のあるソレは、今、しっかりと背中にその存在感を放っている。 「そんなの気にしてどーするんです? ほら、もっとぎゅーっ!」 「うわあああああああああ……!!」 神様、ありがとう。 僕は今、一番幸せかもしれません……。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加