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741.
風呂から上がると、もうご飯の支度は出来上がっていた。
「スバル、ところで今は何時なんだ?」
「そう、ですね。ここには時間の概念って無いので、夜の8時くらいという事にしておきましょう」
随分といい加減な管理人だ。
しかし、背に腹は変えられない。というか、面倒は見てくれるんだ。黙って言うこと聞こう。
「では、座ってくださいね」
「あ、うん」
食卓に並べられたのは、栗ご飯、味噌汁、秋刀魚の塩焼き。秋の食材ばかりだった。
「いただきます!」
スバルが座るのを見計らって、手を合わせた。
「はい、どうぞ」
彼女に促され食べ始めると、スバルもにこやかな笑顔で食べ始めた。
「ご馳走さまでしたー!」
「ふふっ、まるで、小学生みたいですね」
「そう言うスバルは、いくつなのさ?」
スバルは一瞬顔を伏せてから、
「さあ? もう、忘れてしまいましたよ」
彼女が洗い物をしている間、色々と考えてみたけど、そもそも僕はなぜ死んだ?
いや、自殺だったことに疑問の余地はないんだけど、そもそもどんな理由だったのか、忘れてしまっている。
「ヒーロくんっ」
スバルが後ろから勢いよく抱きついてきた。
「ス、スバル! 当たってる、胸がぁっ!」
ただでさえ意識しないようにしていた、二つの弾力のあるソレは、今、しっかりと背中にその存在感を放っている。
「そんなの気にしてどーするんです? ほら、もっとぎゅーっ!」
「うわあああああああああ……!!」
神様、ありがとう。
僕は今、一番幸せかもしれません……。
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