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 わたし、もっと女らしい見かけになったら、あの女の真似してやるんだ。  そう、将来にむけてのお勉強なんです、いやな女のことをじっと見ていたのは。  未来への投資です。  頭にくるのを我慢して、男の目を引く仕草を学ぶために、あの女はわたしにとって必要だった。  そんなことしなくてもかわいいじゃないって、ほめてるんですか?   あ、なぐさめてくれてたんですね。親切ですね、婦警さん。  でも、わたしへのかわいいは、小さくてお子ちゃまみたいなかわいさですよね。  胸をおさえたって、無駄ですよ。婦警さんの気持ちは丸わかりです。  そうじゃなくて、女っぽさで男たちの目を集めたいんです。  男に関しては、人の心が読めるわたしよりも、あの女はずっと進んでた。  ヒロヤくんは、あ、突き飛ばされた被害者のことです。すいません、他人事みたいに言っちゃって。わたしがやったんですよね。  その子、小学校は違ったけど、顔見知りなんです。中学受験のために行ってた塾のクラスがいっしょだったんです。  ちょっといいなって思ってた。  むこうもわたしのことを好きだったし。    こういうとき、気持ちがわかるのって便利ですよね。  両想いだった。おたがい黙ってましたけど。  受験が終わって、塾も辞めちゃったんで、お別れになった。  特につきあうとか、そういう話はなかったので、そこでおしまい。電話番号も知らないし。  だから、びっくりした。電車の中で、ヒロヤくんと鉢合わせしたときは。
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