第2章 自殺未遂

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翌朝、春休みの1日目に7時半に起きて自作のチーズトーストとマッシュルームベーコンサラダとグレープフルーツジュースで朝食を済ませた。たまに食べる自作のパン食は本当に美味い。水奈子の分もついでに作っておいた。水奈子は洗面所でドライヤーをかけている。あいつは料理が苦手で作らせるとひどいので、俺が作り直したりする。母は昨日の疲れでまだ起きてこない。父兄の謝恩会の二次会まで出席して二日酔いらしい。 「佑二君が来ちゃうから、そろそろ・・・。あ、あたしが食べればいいだけか・・・・。」 水奈子がポニーテールの先をカールさせるのを終わってやっと洗面所から出てきた。半分ほど食べたところでチャイムが鳴った。 「はい、今行きまーす。」 俺が玄関に向かって叫ぶと水奈子がコートを羽織って玄関に飛び出してきた。 「今日も頑張ってね。佑二君に負担かけないでよ。」 水奈子が耳元で呟く。 「昨日は俺だって頑張ったでしょ、それなりに。サボってなかったけど・・・?」 「はいはい、念押しよ、ただの・・・。」 玄関の門の前で佑二が呑気そうに桜を見上げていた。俺たちに気づくと片手を挙げてから、桜の木を指さした。 「すごい綺麗だよね、お宅たちの桜。大きいし・・・。」 「ママがね、亡くなった父とここに引っ越してきた時に2人で記念に植えたって言ってたわ・・・。10年育ったのね、もう・・・。」 水奈子の言葉に俺と佑二が一瞬黙ったが水奈子の大声でまた動き始めた。 「今日は研究室へ直行よ。重い物を沢山運ぶのを今日中に済ませなきゃならないから、早めに行くわよ。」
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