第1章 プロローグ

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「ちょっと見ない間に成長するよね、若者は・・・。」  佑二がまぶしそうに俺を見ながら言う。 「佑二だって若者でしょ。成長しないけど。」  水奈子が佑二をからかいながらミネラルウオーターを飲み始めた。 「おはようございます。俺、途中でバテルかもしれなけど今日は一日よろしくお願いします。背は伸びてもまだモヤシです。佑二さん的なマッチョになりたいっす。」 「ハハハ・・・。背は低いけど筋肉はチョットあるよ。陸上やってたし。この大学じゃ役立たないけどね。それよりさ、俺のアパート寄ってその自転車置いてくでしょ。後から追いかけるから先に行ってて・・・・。」 「佑二のみすぼらしいアパート、この前お邪魔したから、もう覚えたでしょ。あたしも佑二の車で行くから。そこから3人で車で行きましょう。」 「みすぼらしいって何だよ。何度も弟と2人でお邪魔してくるくせに・・・。」  水奈子と彼氏のケンカを見たくないので俺は佑二に挨拶を返すと、コンビニの方へ歩き始めた。コンビニでミネラルウオーターを取り出してレジに向かうと続いて入ってきた水奈子が俺の耳元で囁いた。 「佑二君に負担かけないように頑張ってよ。」 俺は返事をしないでレジへ向かった。陰で気を使う、水奈子らしいな、と思った。弟の気持ちはあまり気遣ってないようだが・・・。
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