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ーーー白井部長、あんた笑えるよ。そんなに素直に反応されたら俺は……
澤口は、貴子の耳たぶに手を伸ばした。
ーーー俺は、あんたをもっといたぶりたくなってくる。
「見てくれます? このピアス、貴子に似合ってるでしょう?」
貴子の髪をすくい、自分のものとでも言いたげに自慢するように見せる澤口。
貴子の少しピンク色に染まる耳たぶに小振りのダイヤのピアスが光っていた。
「ほら、部長なら女性に似合うものとか良くご存知かと思って。どうでしょうか?」
「似合っていると思う」
「でしょう? 僕の見たてなんですよ。似合うって貴子」
澤口は、貴子の耳に口を寄せピアスにキスした。唖然としている白井。
「澤口さん!」
声を上げた貴子。
「あ、すみません。部長もいるのに」
ぺこりと頭を下げる澤口。
「いや、お邪魔みたいだから、私は先に失礼するよ」
腰を上げる白井。
「部長、大丈夫ですか? 送りますよ」
「いや、平気だ」
そういいながら、ヨレヨレと立ち上がる白井。
「そうだ。貴子は確か同じ方面だろう。タクシーで送って行ってくれないか?」
「え? あ、はい。あの、澤口さんは?」
「ああ、悪いんだけど、これから少し用があるんだ」両手を合わせて、お願いをする時のようなポーズを見せる澤口。
「わかりました。じゃあ、行きましょ」
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