第四十二段階 悪事のアイディアは相手の近くで

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「俺との食事を拒んだ理由がコレか」 冷たい言い方をして、もう一度貴子を何か言いたげな瞳で見た白井。少し息を吐いて掴んでいた貴子の手を離した。 貴子の手から徳利を取り上げて、手酌する白井。 「そう言うわけじゃないです。それとこれとは話が別で……私だって知ってたわけじゃないんです。白井部長が来る事」 酒を飲みながら白井は、横に座る貴子を見ないで数回頷いた。 「そうか。そうだよな。金輪際、俺とは食事する気無かったんだよな? なのに、偶然に一緒になったって訳か。ふん……俺が来てさぞかし不愉快だろうな」 「そういう言い方しなくてもいいじゃないですか。人が悪い」 「俺は、性格が悪いんだろうな。きっと。好きな女に嫌われて、食事さえ断られて、さっきは見たくも無いキスシーンまで見せられたんだ。人が悪くもなるだろう。ん?」 白井は、同意を求めるかのように貴子の方を向いた。 「嫌ってるとかじゃないですから。それと、あの……キスとかも見せるつもりじゃなくて」 恥ずかしがりながら弁解する貴子から白井は視線を逸らした。 「もう、いい。弁解しなくて」 貴子は、白井の横顔を見ていた。 冷たい空気が流れ始めた所に澤口が戻ってきた。 「飲んでます? 部長」     
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