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貴子が白井の体を支えると、白井は貴子の手を払いのけた。
「放って置いてくれ。1人で帰れる」
千鳥足の白井を慌てて追いかける貴子。二人の後ろ姿を見ながら、澤口はニヤついていた。
ーーー白井部長が、ここからどう出ようと俺は構わない。貴子が欲しいならどうぞ。持って行けばいい。俺は、あんたが嫌いだ。それだけを覚えておくことだな。
白井の脇に入り込み、自分の肩に白井の腕をまわして支えながら歩く貴子。その後ろ姿にスマホを向ける澤口。
街頭に照らし出された二人。
歩道にスマホのカシャッと言うシャッター音が聞こえたが、サラリーマン風の酔っ払いの声に見事にかき消されていた。
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