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第四十三段階 相手にされないと話にならない
タクシーに乗り込むと、シートへ身を沈める白井。
「気分悪い」乗ってすぐに吐きそうになった。穴子の皮の部分やにょろにょろとした体を思い出して、より気持ちが悪かった。
「停めてくれ」
タクシーを降りると路肩にしゃがみこんで今食べてきたものを全て吐き出すくらいに大量に嘔吐した。
「大丈夫ですか? 部長」
一緒に乗ってきた貴子が白井の背中を擦る。
―――最悪だ。好きな女の前で好き嫌いのある小さい男だって思われたくなくて、必死になって穴子を食べた。酒で流し込んでは見たものの気分は最悪だった。それに、こんな醜態を見せる事になるなんて。
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