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「こっちも尊でいいですよ。ところで、その口ぶりからして、はっきりと目的があってここに来ているということですよね」
「ああ、そうだよ。俺は”依頼”があってこの事務所に来たんだ」
「だそうだよ”ワトソン君”。客人が来たのだから、お茶のひとつでも出したらどうだい」
不意に、この事務所の主である海老石は口を開いた。開いたかと思えばいつもの毒っ気のある言い草だ。
「ああ、お気遣いなく。手短に済ませるつもりなので」
諫早先輩がそう手で制すのだが、
「そうですか。ではワトソン君、僕にお茶を」と海老石はソファ踏ん反り返った。
「それ、フジヒコが飲みたかっただけじゃないですか」
と文句を言いながらも尊はこの流れを予見して、既に急須にお湯を注いでいるところだった。
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