プロローグ

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「私の遺産。そしてそれに準ずる権利は全て遺構にある」  ぽつりと尊は呟いた。それは遺言書の冒頭に書かれていた文章をそのまま読み上げたものだ。  それは、全体的にどこかノスタルジーさえ感じさせるような、細い字で書かれていた。全文はこうだ。 『遺言書  私の遺産。そしてそれに準ずる権利は全て遺構にある。  思い出が深き水の底。  幾たびの流れに晒され、それでもなお消えぬ在りし日々の思い出。今も水の底に。  平成二十九年 五月三日 諫早真清』
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