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出陣
ベルーニ到着翌日、ランバートは出陣の準備を整えて外にいた。
「ランバート」
「ゼロス?」
声をかけられ振り向くと、ゼロスが苦笑して立っている。彼は出陣の準備をしてはいなかった。
「港町の方になったのか」
「あぁ、コンラッドとハリーも一緒にな」
「ってことは…」
「俺は一緒だよ」
明るい表情でボリスが並ぶ。肩を組んだボリスは緊張感を紛らわすようにテンションが高かった。
「気をつけてくれ」
「ゼロスも」
「あぁ、勿論」
「ゼロスは何かあると彼氏から怒られるもんね」
「ボリス……」
ニヤニヤと笑ったボリスに苦い顔をするゼロス。そんな二人を見て、ランバートは笑った。
「集合!!」
声がかかり、全員の顔が引き締まる。そして、三人は視線を交えた。
「しっかり」
「お互いな」
「終わったら全員でお疲れさん会するからね」
「「よし!」」
三人は右手を握り、高く上げて打ち合わせる。そして、言葉なく頷いた。
こうして本隊は前線へと向かって、少し涼しくなった地を走った。
季節は九月の初め、徐々に秋の気配が近づく頃だった。
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