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【序章】 『災禍のレギオン』
覇王ゲイリッジ・フォン・ドルヴォイが大陸制覇を目指し、一大帝国を築きながらも道半ばに倒れてから既に半世紀以上。
覇王亡き今も、大小の国々が生命を燃やして相争い、綺羅星のごとく明滅を繰り返す乱世が続いていた。
まるで夢半ばで倒れた覇王の妄執が、大陸に取り憑き、そこに生きとし生けるものを呪っているかのように。
それは誰かが“大陸制覇”の偉業を成し遂げるまで、“祭り”の終わりを許さぬ常軌を逸した呪いであったのかもしれぬ。
少なくとも、多くの者がそう信じた。
だとするならば、この呪いが解かれる日など、本当にくるのであろうか。
大陸中にひしめく国は夜空に浮かぶ星々のごとく存在し、それらの制覇が果て無き夢だからこそ、ゲイリッジは挑み、それに際して自国民に告げたのだ――「『千国時代』を終わらせる」と。
そして後世、それを逆説的に捉えた学者が現れる。
その時より、『戦獄時代』が始まったのだ――と。
文字通り、戦という獄に下った大陸から、昼夜を問わず戦火が絶えることはなくなった。
あれから半世紀以上。
祭りの終わりは、まだ、見えない――。
『災禍のレギオン』
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