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眠い目を擦ってベットから起き上がる。
ギシギシ、音を立てる。
このベットも古いからな。誰もいない部屋での独り言は虚しく、悲しく聞こえる。
「ふぁ~あ、眠い…。」
毎日呟いているであろう愚痴をこぼしながら窓を開ける。
穏やかな風。鳥たちのさえずり。通りを行く人。
見慣れた街の姿は美しく見える。ただ一つ違う事といえば今日は街の感謝祭だって言うこと。
いつも窓から見える街並みは違っていた。公園の周りには出店も出ている。山積みの木箱。酒樽。きらびやかな装飾。
「パパ!あそこのお店を見ようよ!」
「ソティス、そんなに急いでもお店は逃げないよ。」
「そういうことはいいから、早く早く!」
子供も嬉しそうに飛び跳ねている。窓枠に肘をつきながら街を見つめる。
「ずっと、この日常を眺めていたいな~」
独り言の様に呟いた。だれの耳にも届かず風に溶けて消えた。
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