あらすじ

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あらすじ

現生人類には二種類あり、顔がないため仮面をつけるマスカーと、そうではないフェイスである。福沢ナギコは仮面をつけて暮らしている高校2年生である。親友の甘咲エミリはマスカーであるため、仮面をつけている。クラスの中でも3割はマスカーなので、この2人だけが仮面をつけている突飛な存在というわけではない。ナギコは仮面と皮膚の間の発疹に悩まされていた。しかし本来、マスカーの皮膚は強く、皮膚トラブルなどは皆無であると報告されている。心配したエミリはナギコに仮面をとってしまったほうが良いと忠告する。ナギコはマスカーではなく、フェイスであった。フェイスであるナギコは本来、仮面をつける必要は全くないはずなのだ。フェイスでファッションとして仮面をつける人はいるが、その場合では顔の全面を覆うような上等の仮面を使う者はごく僅かである。 ナギコが仮面をつけるようになったのはマスカーである母の悲しむ顔を見たくなかったからだ。マスカーの母とフェイスの父親が結婚し、フェイスの特徴を持ってナギコは生まれた。ナギコが3歳の時に両親は離婚した。ナギコの顔を見るたびに辛そうな母を、ナギコは助けたくて仮面をつけるようになった。 ナギコが子供用の仮面を使うのは今日で最後。16歳になるとマスカーは生涯使い続けるような固定の仮面を持つようになる。誕生日プレゼントとして仮面を贈るマスカーの親が多いが、ナギコの母が贈ったのは鏡と軟膏だった。ナギコの顔に発疹があることに母は気づいて、今までナギコに苦労させてきたことに愕然とした。せめてこれからは仮面無しで、ナギコの人生を送ってほしいと思い、仮面ではなく発疹の治療薬である軟膏と、鏡を贈ることにしたのだった。母はナギコに仮面を外させ、母自らの手でナギコの顔をを触り、軟膏を塗った。以後、ナギコは仮面をつけることはなかった。16歳になったナギコは発疹だらけの顔とぎこちない笑顔を鏡で確認して、学校に行った。
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