再会の香り

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 学生の頃、好な人がいた。しかし、彼とは全く接点がなく遠くから見つめるだけで終わった恋だった。  なぜ彼を好きになったのか。クラスもクラブも委員会も何もかも違った。会話と言えば生徒会長であった自分にサッカー部のキャプテンとしての報告が有る時か、委員長を務めていた図書委員会の報告が有る時くらいだった。  たまに自分から図書室に顔を出した時も有ったが会話と言えば本を借りる時と返す時の流れ作業の様な会話だけだった。  それでも時間まで自分はテーブルで、彼はカウンターで本を読んでいる時間は楽しかった事を覚えている。  そう言えばテストの点数も良かった。学年順位はいつも自分が2位で彼が1位だった。彼が1位だと言うのは女子の「葉山くん、今回も1位なんだ! すごい!!」って言っていたのがよく聞こえてきたからだ。  勝手にワンツー決められている事が少し嬉しかったりした。  文武両道で顔もいい彼はの周りにはいつも女の子がいたし、モテるのも解る。  皆、趣味が合うね! 内心ちょっとお話ししたい気分でいたけど、そんな輪の中に入れる程私は社交的ではなかったから、いつも遠くから見ているだけだった。
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