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真っ暗な所に偶に戻って来る。
此処には何も無いけど、元々僕には何も無いから、此処は多分、僕自身。
何も持たない・持てない僕が、何もかも失くした瞬間、これ以上壊さない様に、戻って来る場所。
此処には本当に何も無い。
やり直す為に必要な光や希望なんてモノは、寧ろ排除されている。
此処はやり直す場所では無い。
暗い闇に眼が慣れると、中空に青白いモノが視える。
涙眼に成ってるのか、ぼんやりとしか観えないけど、知ってる。
あれは、あの娘は僕だ。
僕が成りたくて、成れなくて、もう戻る事が出来ない、混ざる事も無い、置き去りにした僕だ。
黒く長い髪に、青白い肌に、紅い瞳に、赫いブラウスに、黒いスカートに、黒いブーツ。
苺の紅、血の赫、緋、朱、赤。
色の無い世界にたった1つの生の象徴、
「また来たの?」
そう、また来たの。
浮世離れ。
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