第六話「新しい朝」

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第六話「新しい朝」

    1  不憫な秘書が社長に置いてけぼりにされた、その同日同時刻。  花衣は学校の映像資料室にいた。  一砥と同じ理由で、彼女も「今は忙しさで気を紛らわせていたい」気持ちだった。  ゆえに授業を終えた後もこうして居残りし、過去の有名なファッションショーの映像を見て、ウォーキング等の勉強をしていた。  O-Cのショーは一ヶ月後に迫り、花衣はそこで亜利紗と一緒に、ショーのメインとなる孔雀のドレスを着る予定だ。  つまり今の彼女には、自分の出来がショーの成功を左右するという、新人が背負うにはあまりに大きな重圧が掛かっていた。  去年開催された世界四大ショーの一つ、パリコレの秋冬コレクションを眺めながら、花衣は美しいモデル達の姿に「はぁ」と感嘆の息を漏らした。  自分はとても、目の前のモデル達のような優雅な動きは出来ない。  だがそれは言い訳にしかならない。  努力し学び少しでもレベルを上げなければ、自分を起用してくれた一色美里にも、一緒にステージに立つ亜利紗にも迷惑を掛けることになる。  責任感の強い彼女らしい向上心で、花衣はパソコンモニターに映るショーの映像を、食い入るように見つめていた。     
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