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廃墟にて
猫殺しは続いていた。
自転車にのった、青いベレーの男は何度か目撃されたけれども
捕まらなかった。
「卓也君。」
靴を外履きに履き替えていると、西条が声をかけて来た。
「僕ん家来ない?」
「え?」
「僕があの洋館に入ったおかげで
君にも怖い思いさせたし…今日はママが家にいる日なんだ。
君の事を話したら、是非ピザをごちそうしたいって。」
卓也は嬉しくなった。
大学教授のお母さんが、
僕の為にピザを焼いてくれる。
素敵なリビングで、人工知能の話なんて聞きながら
ピザをほおばる-。
考えただけで楽しくなってくる。
「うん、ありがとう。」
先に歩き出した西条の後を卓也は追いかけた。
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