廃墟

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「あれ…?」 初夏だった。 夏服に変わったばかりの日、 廃屋の前を通りかかると、柵が開いている。 黒い鍵が斜めにぶら下がっていて、 開錠したと言うよりは、壊して入ったという感じだ。 久しぶりに見る玄関前の敷石に、新しい泥の足跡がついていて、 庭のほうへ曲がっていた。 バサバサッ キシキシッ 乾いた草が踏み倒される大きな音がした。 人が居る-。 卓也は全速力で逃げた。
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