彼と彼女の海は憂鬱

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**Girl’s Side**  放課後、ユカリはひどく動揺していた。 「どうして、こうなった・・・。」  一緒に帰っていたミカが慰める。 「まあまあ、決まったことだし。ね?」  ――ついさっきのこと。HRが終わり先生が出ていくと、一人の男子が大声で言った。 「土曜日、海に遊びに行くけど参加する人ー?」  ちょっと声が裏返っていた。男子が数人「はーい」と手を挙げた。女子は互いに目配せしたりして、様子をうかがっていた。すると、男子の中から声があがった。 「ミカはどう?」  やっぱりミカはモテるなあ――ユカリは無邪気に感心した。  しかし、当の本人は困っているみたいだった。男子たちの「女子が来なきゃ意味がない」という見え見えの下心と、女子たちの「ミカが行くなら私も行こうかな」という空気。  この場の全てがミカに託された――。回想終わり。
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