とある都市伝説

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それでも、自分はその都市伝説に縋るしかなかったのだ。復讐を成し遂げる為に その復讐の理由は傍から見たらそれこそちっぽけな物かもしれない……しかし自分にはそれが復讐するに至るほどのものであると確信している そのためにこの山をさまよっている訳だ しかし、何一つ手掛かりは見つからない 当たり前の話だが、宛もなく代わり映えのない風景の中歩き続ければ自分のいる場所が分からなくなるのも道理だろう。要するに遭難だ 帰るべき道も分からず、進むべき目標も見つからない。その様子はさながら亡者のようだ それでも歩き続ける。気持ちだけが身体を突き動かしていた。 しかしそれにも限界がある その場に仰向けに倒れ込む そうして、1度動きを止めた足はどうやっても動く事はなかった 「復讐を果たせずこんな所で死ぬのか……」 自分を助けに来る人はいない それを知っていたからこそ、ここまで盲目に信じられたのかもしれない こんな場面なら悔しさで溢れかえっているのが普通なのかもしれない。 でも自分はそんな感情はなく、むしろ達観している自分がいる。こんな事考えている時点でその事が現れているだろう 「ああ、でも……」 唯一の悔いであるそれを呟く 「自分自身の手であいつを……殺したかった…」 そう言い残して意識を手放す
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