『黒い影』

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『黒い影』

私は、その団地の住人から再配達の依頼があり、PM19:00頃行きました。 団地の入り口は、月明かりでうっすら見える程度の明かりでした。 団地の入り口に入ると、富田さん宅の前に真っ黒いナニかがしゃがみこんでいるように見えました。 『…わっ!?なんだ?…ヒト…か?…』 私は一度目をそむけ、もう一度左を見ると… 『…わわっ!? ヒトだ!?…男のヒトか?…』 私はビックリして右手側にある外灯のスイッチを手探りしていたのですが、なかなか見つけることが出来ませんでした。 『…やべぇ!!…もしコイツが立ち上がったらどうなるかわかんねぇぞ…スイッチどこだっ!?…』 パニック状態になりながらスイッチを必死で探す私。 『…あった!…よ、よし…』 私は、しゃがみこんでいる男のヒトを見ながら電気のスイッチを着けました! “ パチッ!! ” 「あ、あれ!?…消えた…」 目をそらさず見続けていたのに、電気をつけた瞬間にそのしゃがみこんでいるオトコは、一瞬に消えました……。 私は、速やかに配達を終え、その団地から出ました。 私が見た黒い影は、妻に憑いてきたオトコだったのでしょうか? 一週間後、富田さんが亡くなった事を妻から聞きました。 私の会社の同僚から聞いた話では、富田さんが入居する前の住人は、入居してから一週間もしないうちに理由も言わす引っ越してしまい、その後入居した富田さんの娘が、富田さんが亡くなる1年前に原因不明の突然死をしたそうで、今回の富田さんが亡くなった理由もハッキリとはしていないそうなのです…。 もしかしたら、あのオトコの霊が関わっているのか……。 それとも、台所で妻に憑いてしまった子供のような霊のせいなのか……。 富田さんが住んでいた団地の部屋は、10年近く経った今でも、ナゼか誰も入居していません……。
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