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~序章~
「…なんなんだよこの雨」
店の外に出てみれば,まるで勝負に負けた私を嘲笑うかのように,路面を激しく冷たい雨が打ち続けている。
生活費のために友人から借りた五万円という大金を,わずか三時間半ほどで散財してしまった私にとって,正に踏んだり蹴ったりである。
「ふざけんな!…くそったれが!!」
誰に言う訳でもなく,そんな汚れた言葉を吐き捨てながら,私は冷たい雨の中を速足で愛車へと急いだ。
「なんなんだよ!なんでこうなるんだよ!!有り得るかよこんな事ばっかり!!」
私は愛車に乗り込み,濡れた頭を抱えながら,ハンドルに項垂れて大声をあげる。
今月に入って既に,20万円という大金をパチンコ屋という肥溜めに捨ててしまった。
今年に入ってみれば,おおよそ170万は失っている。
そんな私が,大好きだった祖父の命日の5日ほど前,依存性と戦う事を本気で決断した瞬間であった…
~この話は,これから始まる何度目かの依存性からの脱却を目指す,とあるパチスロ依存性(病的賭博)の男の,過去と現在と未来の物語~
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