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 ユリは、アリサのようになりたい。  勉強は、全然だめなアリサ。でも、スポーツは得意だ。頭の回転も速い。たまにアリサたちのグループの会話が聞こえてきてしまうことがあるが、関係ないユリまで思わず笑ってしまうこともある。発想が面白く、口を開かなければ美少女だといじられ、でも、まんざらでもなさそうなアリサ。ユリは、ひたすら羨ましい。    時々、ユリは、だめもとで自分の気持ちを広瀬に伝えてみようかとも思う。自分に自信のある女子ならきっとそうするのだろう。でも、頭の中でそれを想像してみると、フラれる自分しか思い浮かばないのだった。  玉砕覚悟で当たってみる女子もいるだろう。自分の気持ちにけじめをつけるためだ。でも、ユリにはそれもできない。玉砕する自分がリアルに想像でき、それだけならまだしも、戸惑う広瀬をも想像してしまうと告白なんて絶対に無理だと思う。
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