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 ユリは、自分がいやになる。勉強だけは自分でもなぜかできると思う。逆にみんながなぜできないのか不思議なくらいだ。勉強は、突然難問が出るわけではなく、徐々に難しくなっていく。基礎から順にこつこつと理解していけば、応用問題もわかるようになるものだ。そして、わからなければ、少し前に戻って考えてみる。順路立てて落ち着いてやれば誰でもできるとユリは思う。  比べ、恋愛は、本当に難しい。ユリは、まだ誰とも付き合ったことがなかった。ユリに告白してくる男子もいないし、ユリも誰かに言い寄った経験はない。ちょっといいなと思った男子は、小学生の時も中学生の時もいたけれど、姿を見られるだけで満足だった。それは、好きな男子がユリと同じように誰とも付き合っていなかったせいかもしれない。 でも、今は、好きな人とは、手を繋ぎたいと思う。一緒に帰ったり、休日どこかへ一緒に遊びに行ったりしたい欲もある。だから、思い通りにならないことが苦しいのだった。
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