第10章 ミイ、ミヤ、ミウ、ミオ

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「だから、君は意図してやったことじゃなかったんだろうけど。それで尚哉の新しい面がいろいろと現れることになったわけで、それはよかったと思うんだよ。女の子の現実の姿をきちんと認識する気になるとか、動物とか異質の存在との接点を持ってみるとか」 二人して何となくちら、とリビングのエニシダさんを見やる。何かに集中してるのかこっちの視線に気づく様子もなくじっとパソコンに目線を当てている。何二人して話し込んでるんだろう、とも思ってないようだ。 由田さんはちょっと安心したかのように話を続けた。 「誰とも交流せずに部屋に一人でずっとこもってるだけじゃそんな変化も永遠に訪れないんだから。あいつのお姉さんの差し金にしろ、ただ女の子が一人ここへ顔出すようになっただけでだいぶいろんなことが動いていくもんなんだな、って」 「うん。…いい方に、だったらいいですけどね」 相槌を打ちながら、そういえばわたしがここに来るきっかけになったのは彼のお姉さんの早月さんの意向だったよな、と思い返す。あれから半年経たないくらいだけど。当初に想像した以上にいろんな変化があった気はする。 女の子が同じ部屋にいるだけであいつもだいぶ影響受けると思うのよ、と彼女に頼まれた時にはそんなことないだろ。そう簡単に他人に影響されそうなやわな人物じゃないと正直内心で思ったもんだったが。     
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