第10章 ミイ、ミヤ、ミウ、ミオ

24/33
前へ
/80ページ
次へ
「駄目だろ。あんまり溜めると締め出されちゃうぞ」 大袈裟に目を剥く青山くんと並んで外を歩きながら、わたしは肩身狭く身体を縮めた。 「だって。わたし実は、奨学金もあって。返済とか」 ぼそぼそと情けない声で打ち明ける。 「四人きょうだいの真ん中だし。弟たちは歳も離れてるからまだ学費がかかるってわかってたから、奨学金制度使うしかなくて。自分でちゃんと返済するって言い張って東京に出てきたから。…無利子のが受けられなかったから、結局有利子で。あれって、滞納するとあとが大変なんでしょ?自己破産とか差し押さえとか」 借りてからそういうニュースをいろいろ見たから。なんだか滞納するのが怖くて他のことより優先して返済してた、ってのが実際のところだ。 「その点、賃貸の部屋は居住権とかあるから。数ヶ月くらいじゃまだ、いきなり追い出されはしないかな、と…」 「いやそれも程度問題だよ。管理会社と大家の考え方次第だろ。急に部屋の鍵取り替えられたりしたらどうすんだ?それでも自分には住む権利あるって裁判所に申し立てる?なかなかそんなことできないだろ、結局は泣き寝入りするしかないよ。奨学金は一旦置いて、まず家賃払った方がいいぞ。まとまった金なんとかなりそう?実家に借りるとかは?」     
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加