第10章 ミイ、ミヤ、ミウ、ミオ

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考えないようにしていた調達方法を思いきり持ち出され、呻く。やっぱそれしかないのか…。 「わたしが家賃まで滞納してるとは知らないはずだから。常識がない人たちじゃないし、親も知れば立て替えてくれるとは思う。だけど、そうなったら。もう東京には残れないな」 「やっぱ駄目か」 「そりゃそうだよ」 ちゃんと自力で何とかやってるよ、って言い続けてたのが嘘だってばれちゃうんだもん。当然実家に戻ることと引き換えじゃなきゃびた一文も出してくれないに決まってる。 「だいいち親から借りても今んとこ返済の目処も立たないし。何かこれで生活を立て直せる、って見通しを示さないと無理だろうな。一度地元に帰ったら多分もうこっちには出てこられないと思う」 「そしたら新しい仕事に就く、とか。結婚するかとかかな」 「仕事は、まあね。結局目指すとこはそこしかないけど。結婚は問題になんないよ、相手がいないし」 「そうかぁ?」 何なのその適当な相槌。他人ごとと思っていい加減な。彼はわたしの手からごく軽いトートバッグ(仕事着入り)をなんなく受け取り、くるくると手許で回しながら呟いた。あの服をもう着ることもないのか。あ、エニシダさんのモデルをする時は別だ。 青山くんはいつになく生真面目な横顔を見せて独りごちる。     
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