第10章 ミイ、ミヤ、ミウ、ミオ

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「俺がまとめて立て替えてやってもいいけど。どのみち返済する当てはないんだよな。こっちは急いで返してもらおうとは思ってないけど。お前はなんか気分悪いだろ、それなりの金額の借りがあるってのは」 「そりゃ。…そうだよ」 ちょっと気まずく口ごもる。正直言うと青山くんがお金貸してくれたらすごく助かる。だけど、そんなことしたら確かに関係にひびが入りそう。 友達相手にできるだけお金の貸し借りは絡めたくない。だけどもう、そんなことを言ってる段階じゃないのか…。 「しょうがないな。じゃあもう、あの部屋は諦めろ。思えば今のお前の身の丈には合わないレベルの部屋だよ。収入を考えたら出るしかないな」 「いや出る気満々だよ。ずいぶん前から…。だけど、引っ越し代工面できなくて。それで動けないでいるうちにこんなことに」 そうだ、家賃より奨学金より。まずは青山くんに引っ越しするお金を貸してもらおうかな。部屋を出さえすればあの身の程しらずな家賃が雪だるま式に溜まっていかなくて済む。まあ、そのあとどこに住むかは。また新たな問題ではあるけど。 なるべく家賃の安いとこ、って言ったら。学生の時の木造アパートよりもっと古くてセキュリティに問題あるとこくらいしかないだろうなあ。 そう思案してることを知ってか知らずか、青山くんはごく平然と普通のことみたいに提案してきた。     
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