第10章 ミイ、ミヤ、ミウ、ミオ

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「仕方ないなぁ、じゃあもううちに来いよ。あの部屋もそう広くはないけど一緒に住めないことはないだろ。荷物全部持ち込もうとするなよ、要らないもんは処分して。洗濯機とか冷蔵庫、もう必要ないだろ。ダブっちゃうし」 「シェアハウスしてくれるの?」 最初の家事サービスの時に行ったことがある青山くんの部屋を思い浮かべた。独り者だからすごく広くもないが、ライター一本でそこそこ成功してることもあって絶対に二人で住めなくはない。確か2DKだったと思う。住んでそれなりに長いから結構ものも多かったけど、片方の部屋に寝かせてもらえば一時避難的には何とか。 と、皮算用を始めたわたしにばっさりと一刀両断、言い放った台詞が。 「え、そんなんじゃないよ。一緒に住もうって言ってんだ。だいいちそんな風にプライベートな空間それぞれ確保できるような部屋じゃないよ。言っとくけど。お前と暮らすなら俺、するから。無しなんて無理、自制できないからな」 「は?」 何言ってんのこの人。わたしはぽかんとなって口を開けた間抜けな顔で奴を見返した。意味が全然頭に入ってこないけど。 「えーと。…それは、『来るな』ってこと?わたしと同居するなんて無理ってことだね」     
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