ばーちゃんこ

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1週間ほど祖母の夢を見続けたある日の事。 ……その日は夢の様子が少しだけ違いました。今までは直立不動だった祖母が「学校はどうかね?良い子にしてるかね?」と微笑みながら両手を伸ばし、こっちにゆっくり近づいてくるのです。 「ばーちゃん、俺、良い子にして頑張ってるよ。」祖母を抱きとめようと私も両手を伸ばす。 そこで、目が覚める。 私は大好きな祖母に再会できるこの短い夢が日々の楽しみになっていた反面、祖母の問い掛けに対しサボってばかりの現実の高校生活とはギャップのある返答をしていることに、何とも言えないモヤモヤを感じていました。 ありのまま話すか、真面目に学校に通えばいいだけなのですが、夢の中での返答は自分の意思で変えられそうにないし、学校はどうにもこうにもサボってしまう。この頃、単位が足りなくて留年が決まったら高校を辞めればいいくらいに考えていました。 翌日。 更に夢の様子が変わりました。 「学校はどうかね?良い子にしてるかね?」 昨日と同じく両手を伸ばし、こっちにゆっくり近づいてくる祖母。ただ、その顔から微笑みは消え、まったくの無表情になっているのです。 「ばーちゃん、俺、良い子にして頑張ってるよ。」と私も両手を伸ばし、目が覚める。 そして次の日。 夢で見る景色は一変します。 真っ白だった空間が、血でも飛び散ったみたいに赤く染まっているのです。 「学校はどうかね?良い子にしてるかね?」 手を伸ばして近づいてくる祖母は無表情。私は自分の意思で言葉を発する事が出来ず、やはり 「ばーちゃん、俺、良い子にして頑張ってるよ。」 と手を伸ばします。 楽しみだったはずのこの夢に、何か言い知れぬ恐怖を感じ始めていました。 ……それから2日間その内容が続き、3日目の夢で、私の恐怖は確信に変わりました。 真っ白い空間は更に広範囲に赤く染まっていて、もはや赤が大半を占めています。 「学校はどうかね?良い子にしてるかね?」 目を釣り上げ、怒りと憎しみに満ちた表情で、乱れた髪の祖母が手を伸ばして近づいてきます。 「ばーちゃん、俺、良い子にして頑張ってるよ。」 怯えながら伸ばした私の手を祖母が払ったところで、汗ダクで目が覚めました。 これでも尚、私は所詮夢だと割り切っていました。 ……そして、祖母の夢を見始めておよそ10日後。
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