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賢子ちゃん本人はというと、「藤式部」ではなくて、紫の君にちなんで「紫式部」と呼ばれるようになった母君がうるさくて、実は「源氏物語」は読まない。
なのにね、私が日が落ちなければいいのにと書き写すので、賢子ちゃんも一緒になって書き写してくれた。読みながら書き写すのが楽しいのにな。
でも、「後から読めばいいわ」という賢子ちゃんは、なるほど合理的だ。
母上のお持ちの「伊勢物語」は、亭子院の帝の伊勢の御息所がお持ちだったものだという、実に由緒正しいものけれど、時代は「伊勢物語」よりも「源氏物語」よ。
新作が待ち遠しい。
そりゃ、物語は初めから最後まで嘘ですよ。
でも、その作り物の中の真理、これが重要!そう賢子ちゃんに言い続けたせいかしら。賢子ちゃんが「綾子がうるさい」と紫式部さまに言ったのかしらね。つい先日賢子ちゃんのところで「蛍の巻」を読んでいたら、同じことを光の君が玉鬘の君におっしゃるから、我が意を得たりと私は自慢した。
そして、玉鬘の君の反応が鈍いのも、賢子ちゃんみたいで笑った。
本当に母上が紫式部さまだったら、本当に良かったのに!
もしくは赤染衛門さま。浮名なんか流さないし、「栄花物語」と「源氏物語」は牛車の車のね、あの両輪なのよ。
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