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 じゃなかったら、登華殿におられた皇后の宮に仕えた清少納言さま。藤壺よりも「枕草子」の時代の登華殿にお呼ばれされるなら私は喜んで伺うのに! 「あら、清少納言さまが好きなの。小馬命婦は清少納言さまのお嬢さまじゃないの」   小馬命婦さまも皇太后さまのところにおられる。  「栄華物語」を持っていたら、母は「じゃあ、枇杷殿(びわどの)?」と言うけど、そうなのよ。  皇太后さまの妹君の枇杷殿のお妃さまのところに赤染衛門さまの娘、匡子(まさこ)ちゃんは出仕なさるという。  とにかく!私は母を取り替えたい!  「栄華物語」の新作と「源氏物語」の新作と、どっちを取るかしばらく考えたけど、皇太后さまのところなら「源氏物語」の新作ができたら割とすぐに読めるだろうし、というよりも、書き写す役割をいただければと思うし。きっと「栄華物語」の新作も読める。  というわけで私は女房を引退された紫式部さまの代わりに入る賢子ちゃんと二人で東三条の皇太后さまに出仕することになった。もちろん、曹司(ぞうし)は賢子ちゃんと一緒よ。  いろいろと私たちに教えてくれたのは、小馬命婦(こまのみょうぶ)さまだった。  小馬命婦うちの母と違って人を放り出したりしない、よく気のつく方よ。     
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