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終末は近いというけれど、世界が終わるまでにはまだ時間があるっていう話じゃないの。なのに、定頼の野郎は終末が今来たかというような様子よ。
年は5歳くらい上だろうと思うのだけど、なんだかおしっこをチビられそうで嫌になって解放してやることにした。
「坊や、返歌はできた?」
アウアウと何か声はしたけど、言葉はなかったね。
「お父さまに返歌を作ってもらっても構わないわよ!」
裾も袖も離したってば。
馬鹿馬鹿しくなって御簾の中に入ったら、女房たちがどっと笑って、御簾の外では走って逃げていく足音がした。
外が濡れてないと良いんだけど。考えただけで汚らしい。
女房たちの良い語り草になったし、教通の君がたまたま角で私と定頼の野郎を見ていたらしく、これまた面白おかしく公達に話して、私を褒めたって話だ。
「小式部の君という人は、実に良い。定頼がからかったら飛び出してきて、あっという間に和泉式部の君の姓の大江も含めて、丹後へ通る生野、天橋立を織り込んで、遠い丹後から文なんか来ない!って、すごくないか。気が強くて頭の回転が早いのは最高だね。我が母上以上かもしれない。その上、光の下で見ると母君の和泉式部の君よりも美しい」
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