君を走らせに来た

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「思えば しょっぱい人生だったな 取引先で大きなミス犯して 何年も勤めてた会社に見限られて」 僕は一度踏切を渡り 踏切の向こう側にあるコンビニで 唐揚げと水を買って外に出る コンビニの向かいには公園 通勤中毎日前を通っていた見慣れた公園 ぞうの滑り台 柵のついた砂場 塗装の剥げたブランコ オモチャ色の遊具たち そして正確に時を刻む時計塔 0時2分 規則的に動く針を睨み僕はまた 踏切を渡る 唐揚げをむしゃむしゃ食べながら ペットボトルの蓋を開ける 少しだけ蓋を開ける手が震えていた 「…いまさら 何をびびってんだよ。 もう、僕には何も残ってないだろ。」 自分に言い聞かせながら 両手の指同士を絡めたり揉み手をして 震えを落ち着かせる     
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