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夫婦は心中ではなく殺されたと言っていた。概ね少女にはふさわしくない言葉ではあるが誰か他の大人から聞いたのだろうか。あそこは地元では有名な心霊スポットらしいから地元の人でしか知らない事実があるのかもしれない。
警察の人に殺されたとはどう言うことか。それが言葉通りの事実なら確かに大人は話さないだろう。表向きの、夫婦が心中したと言う噂しか聞けないはずだ。善悪認識のない子供なら真実をポロッと言ってしまうこともあるかもしれない。
もしくは比喩的表現なのだろうか?警察の捜査不備。助けが間に合わないとか・・・・。よくよく考えればテレビドラマの影響でゴッコ遊びでしゃべった可能性もある。とにかく今の情報だけでは判断できないな。
バックミラーに映った自分の顔を見て思う。おじさんと呼ばれるぐらい老けてしまったのかと。
家に帰るとすぐ今回の取材した写真データや内容をまとめて先輩にメールすることにした。数時間後、先輩から返信がきた。それを読んで唖然となる。
今回の取材場所に関しては駅から誤った道順を明記していたらしい。他の心霊スポットの駅からの行き順とあべこべにしていたようだ。つまり本来なら辿りつける筈が無いことになる。にもかかわらず取材してくれたことに感謝していると言った内容だった。
どう言うことだろう。本当に偶然ついたのだろうか。でも実際の道順は駅前の道を左方向に真っ直ぐ進むことになる。直進右折の道と交わるとは思えない。
あの廃墟は全く別のものだったのか?しかし看板は確かに目的のものだった。似た名前の似たような建物が近くにあるとも思えないが。
あの少女の言葉はどうだろう。事件があの辺りで複数あるとも思えない・・・・・・・。
そもそも穴場の心霊スポットの情報と言うものはいいかげんなものも多い。案外間違いだらけの情報が奇跡的に整合してしまったとか・・・・・。
答えは出ない。こうなったらもう一度あの場所へ行ってみるしかない。私は準備をすすめていった。
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