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君と私の最後の砦。
今日もまた、君の背中を追いかけていた。
私の1歩が小さいだけなのか、君の1歩が大きいのか。
隣を歩いてくれることを期待しても無駄。
気遣いという言葉なんて知らないであろう自由奔放な陸が、そんなことをしてくれるわけがないのだ。
今年で高校生活2年目、幼馴染歴17年の私たちは、今日も通学路を歩いていた。
時刻は6:28。朝練開始まであと12分。
私たちは寮生活をしているから、ここから学校までほとんど時間はかからない。
走れば5分でつく、そんな距離。
「おい、着いたぞ。綾?」
そう言って整った、こんがり焼けた顔が、私の顔をのぞき込む。
ぼーっといつもの如く考え事をしていた私は、陸の一言でやっと現実に戻ってくる。
いつもの会話。何も変わらない。
「あっ、ありがとう陸。
じゃあ私も着替え行ってくるね!」
「おう。ちゃんとしろよ?
今日はいつも以上にらしくないぞ?」
「大丈夫だよ。陸こそ、ヘマしないでね?」
「誰がそんなことするかよ。ほら、早く行け。」
「はーい」
陸の言葉を背に走り出す。
男子更衣室と女子更衣室は真逆なのだ。そして、女子更衣室は部室からもかなり距離がある。
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