君と私の最後の砦。

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それもそうだろう。私は野球部のマネージャーだ。更衣室が遠いのだって、文句言えない。 遠巻きに、チラリと陸を見る。 隣には莉花(リカ)先輩の姿。 莉花先輩は私と同じ野球部のマネージャー。 そして、陸の彼女。 どうやら莉花先輩は、陸目当てでマネをやっているらしい。今年から始めたのも納得だ。 そんな先輩の努力は無事、実を結んだわけで。 二人が付き合い始めて、もう3ヶ月。 野球部も大会間近だから、普段よりも熱が入ってる。 もう、甲子園の時期だ。 かつて私が見た儚い夢が、私を部外者にしたままここにある。 私が苦手な、この時期。 小さい頃、陸と一緒に街の野球チームに入っていた。 もちろん大きくなるにつれて、男子との体力差は広がって、段々ついていけなくなる。 だから私は、野球を辞めた。 陸に、ちょっとだけ期待して。私の分もやってくれるんじゃないかって。そんな儚い希望を、まだ捨てれないでいる。 他にも、捨てられないものは沢山あるんだ。 私が中途半端なのも重々承知。 例えば…私はずっと、陸に恋をしてる。 ずっと陸だけが好きで、幼馴染なのを利用して、ずっと隣にいた。それが当たり前だった。 そんな陸には、もう莉花先輩がいる。 私はいらない。陸に、腐れ縁は必要ない。 私の想いは伝わらないまま。
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