夏入りと腐葉土の香り

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夏入りと腐葉土の香り

今年の夏は、腐葉土の香りから始まった。 鼻に走る鋭い痛みと鼻腔をくすぐる腐葉土の香りに目をさますと、まだどこかぎこちない蝉の声が遠くから聞こえてくる。 「ああ…もう夏か。」 今年の夏も熱くなりそうだなとか、押し入れの扇風機はまだ使えそうだろうかなんてことを考えながら、何かが刺さっているように痛む鼻に手をやる。 指に触れたのは、何か硬いものだった。
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