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たら、れば。と過去を悔いるのは仕方がないと思うけど、私が、していたら。そうしていれば。
こんな未来は無かったろう。
私は、片田舎で冠婚葬祭の式場に勤めるスタッフだ。
田舎で主に結婚式場担当で、ウェディングフェアの企画もする。ウェディングドレスの試着とか、料理の試食会とか。
話は少しずれたが、結婚式もお葬式もやる会場で黒いスーツの不審者を見逃し続けた結果がこれなんて…
会場は蜂の巣をつついたような騒ぎで、花嫁をさらわれた新郎は茫然自失で、新郎の父親はぶち切れちゃって真っ赤な顔をしている。
一人不謹慎な高笑いをあげる女性は新婦側の席で睨まれているが何処吹く風で清清しい。
ずっと、気になっていた。
黒いパンツスーツの女性。
大事な人を亡くして少しおかしくなった可哀想な人だと思っていたのに。
ねぇ、黒衣の王子さま。この結末はあんまりなんじゃないの?
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