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それから数日経ち、日曜日になった。
約束通り、お父さんと二人でお母さんの実家に向かった。
久しぶりのお父さんとのドライブにワクワクしながら車に揺られ、三時間後には窓の外は緑で溢れていた。
お母さんの実家は山の中にある小さな町で、コンビニなんて便利なものはないらしい。
なんでも売ってるらしい商店屋さんと、今は珍しい駄菓子屋さんを見かけたくらいで、民家が点々と建っていた。
町を観察していると車は一軒の大きなお家の前に着いた。立派な門がそびえ、それをくぐるとこれまた立派なお屋敷があった。
こんなに大きなお家は見たことなかったので、少しドギマギしながらお父さんの後について玄関へと向かった。
お父さんがチャイムを鳴らし、ごめんください、と言うと中から扉が横にスライドし、開いた。
「こんにちは。お久しぶりです、お義母さん」
「久しぶりだねぇ、雅彦さん。遠いところからわざわざ来てくれてありがとうね」
お父さんは深くお辞儀をし、玄関の中から出て来たお婆さんと話していた。すると、お婆さんの視線がわたしに向いた。
「お義母さん、縁です」
「あらまぁ、大きくなったのね。縁ちゃんはいくつになったの?」
そのお婆さんにわたしはさっきのお父さんを見習ってお辞儀をしてから挨拶をする。
「はじめまして、縁です。今年で11歳になります」
「ちゃんと挨拶できて偉いねぇ。そう、縁ちゃんがもう小学生かぁ、どうりで時が経つのが早いのね」
お婆さんはにこにこと笑い、わたしの頭を撫でてくれた。
「良かったらおばあちゃんって呼んでね。ささ、玄関先で長話も何だし中に入って頂戴。おじいちゃんも中で待っているからね」
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