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今日も美味しくご飯を頂いていると、おじいちゃんがそういえばなぁと話し始めた。
「この町にはな、お稲荷さんが祀られているんだ。町を守って下さる神様だから縁も挨拶に行っておいで、きっと縁のことも守って下さるよ」
「おいなりさん?」
「ここらでは神様のことをそう呼ぶんだよ」
おばあちゃんがわたしに教えてくれた。
「どこに行けばいいの?」
「町の外れに稲荷神社があるのは分かるか?そこに祀られてるよ」
「分かった、早速ご飯食べ終わったらいってみるね」
「俺も一緒に行こうか?」
その申し出にわたしは首を横に振った。
この町をじっくり見て回りたいと思っていたから一人でのんびり探検するのも丁度いい。それにおじいちゃんも今日は午後から用事があるのを知っていたので、遠慮する。
その相手は酒屋のおじさんだって言ってたから夕方頃にはきっとお酒を飲むんだろうなぁ。数日前に酒屋のおじさんと飲んでたし。お酒ってそんなに美味しいのかなぁ。
「そうか、気をつけていってくるんだぞ」
「うん、おじいちゃんも飲みすぎちゃ駄目だよ」
「孫に心配されるってのは良いもんだな!こりゃ飲み過ぎないよう気をつけねぇとな」
おじいちゃんは元気よく笑っている。楽しそうで何より。そんなおじいちゃんを見ておばあちゃんはやれやれといった風だ。
うん、このやり取りを見てるのすごい好きだなぁ。
「縁ちゃん、遠慮せずいっぱい食べてね」
「うん、ありがとう!」
お昼を食べ終え、お皿などを洗い終えてからわたしは稲荷神社に向かうことにした。玄関で靴を履いているとおばあちゃんがお見送りに来てくれた。
「暗くなる前に帰っておいでね、気をつけるんだよ」
「うん、行ってきまーす!」
玄関から駆け出すと、後ろからおばあちゃんのいってらっしゃい、という声が聞こえわたしは手を振って応えた。
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