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太陽は容赦なく熱を放出し、青空にはもくもくとした大きな雲が見える。
どこからともなく蝉のミーンミーンという鳴き声が聞こえてきて、夏だなぁと改めて実感する。
出かける前におばあちゃんに手渡された麦わら帽子を深く被り、影を作る。炎天下の中歩いてたら、すぐさま倒れそうな程の暑さだ。
けれど、吹いてくる風は気持ちよくこの暑さも我慢できる。
青空と緑に囲まれたコントラストにわくわくと胸が踊り出し、何だか楽しくなってくる。
いつもはしないスキップまでしてしまう始末だ。
スキップする度に、お気に入りの白いワンピースが揺れ、その動きを見てると水族館にいるクラゲみたいだなぁと思う。
町のご近所さんといっても何百メートルも離れていたりするので、人とすれ違うこともそんなにない。
たまに見かける畑にいるおじいさんやおばあさんに挨拶をしながら、進んでいくと大きな木々がそびえ立つ神社の麓にたどり着いた。入り口には、稲荷神社の文字が刻まれた石碑があるので、ここで間違いない。
大っきな鳥居…赤いから遠目で見えて目印になりそうだなぁ。
どうやら神社は山の一部に建てられているようで、鳥居の奥には長い石階段が上へと続いているのが見えて、少しげんなりする。
でも、おじいちゃんにも言われたとおりこの町にいるんだからちゃんと挨拶しないと!
決心したわたし鳥居をくぐり、石段を一つ一つ登っていった。
不思議なことに、神社に入った途端涼しくなった。木々に覆われて日陰だっていうのもあるだろうけど、神聖な雰囲気に包み込まれている気がする。
30段あたりまで数えていたけれど、またまだ続きそうな階段に数えるのを放棄して黙々と登った。階段の両脇には木々が茂るだけで何にもなく、景色の変わり映えはない。
やっとのことで着いた境内には誰もいなくて、静寂に満ちていた。
きょろきょろと辺りを見回してから、本殿らしい建物を見つける。その前まで歩くと、賽銭箱が置かれ、大きな鈴のついた太い紐がぶら下がっている。
神社にお詣りには、わたしが小学校に入る前にお父さんと行ったきりだからうろ覚えでどんなやり方だったか思い出せない…。
「確か柏手を打って、お辞儀してご挨拶するんだったよね?」
「そうだよ」
「そっか、合ってて良かったぁ…え?」
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