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秋晴れの午後、お爺さんが落ち葉を集めて焼き芋を作っていた。
すぐ近くの公園で遊んでいた子供たちが物欲しそうに近づいてきたので、お爺さんは笑顔で手招きすると「もう少しでできるから、食べていきなさい」と言って子供たちを自分の側へ集めた。
暫くして焼き芋ができあがり、お爺さんが落ち葉の中から芋を取り出そうとすると、子供の中の一人が「僕がやりたい!」と名乗り出てきたので、お爺さんは「熱いから気をつけないと駄目だよ」と注意をしながらその男の子に持っていた火掻き棒を手渡した。
嬉しそうに火掻き棒を受け取った男の子は、早速落ち葉の中をまさぐり始めたが、すぐに「うわぁぁ!」と大きな声を上げ火掻き棒を放り投げるとそのまま逃げるように走り去ってしまった。
いったいどうしたのだろう。
そう思いながら、お爺さんは男の子が放った火掻き棒を拾い上げると、すぐ側に立っていた女の子が呆然とした顔で落ち葉を凝視していることに気がついた。
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