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決着をつけるというのは、得てしてリスキーなものだ。
剣豪同士が容赦なく決着をつけようとすれば、少なくともどちらかの血は流れる。
ボクサーが決着をつけようとすれば、リングの上であっても最悪の事態になり得る。
誰かが病との決着をつけようとすれば、技術や運の巡り合わせ次第では失敗しかもたらされないかもしれない。
どうやら恋の病も同じらしい。
紫陽花がその年で初めて色を見せたあの日、純粋な彼は片想いに決着をつけた。
誠実な言葉を精一杯に紡いで、それでも対戦相手でもある長い黒髪の審判のくだした判定は敗北のほうだった。
どうやら彼にも、春が終わって、夏が訪れたようだ。もうじき蝉が鳴き喚くだろう。
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